皮がはじける。つやつやの赤い実が美しい。枝がなよなよしている。弱い風にもゆれる。光がまわっておだやかな光景だ。実を選んで構図をきめる。焦点を合わせる。実や色づきまちまちの葉、細い枝達みんなが動かなくなる一瞬を、カメラを三脚にあずけて、レリーズをもちながら待つ。背景がボケて、淡い色のバックをつくり、実の赤が際立つ絞りをさぐる。シャッタースピードをきめる。1⁄15秒で止めるか?止まるだろう。風が弱まりやむのを期待しても、強まることもある。息をつくことを信じて我慢だ、我慢。

 ニシキギはニシキギでも、もうひとつは葉である。ひときわきれいに紅葉した葉を見つけた。道路脇の生垣の中に紅が目立つ。車が通るから、気をつけて三脚を置く。半世紀以上まえのものだが、使っている。ローポジション用の開脚装置はまだ備わっていない。しかし、丁寧につくりこんであるから長持ちする。脚を伸ばさなければ低位置撮影もOK。道路にできた三脚の濃い影から、天候を想像してほしい。カメラのストラップで陰となった脚の上部で、塗装色が明るいグレイだったとわかる。強い光を受けている部分は露出オーバーなのだ。現品は、白くはない。

 関心が薄ければ目につかない鮮やかな色の葉、105ミリで狙ってみた。暗い緑色のツタの葉陰をバックにああかこうかやっていると、「なにかあるンですか?」と通行人にきかれた。

 季節は、場所を選ばず訪れる。

 

ポイント


 

カメラを三脚にあずけて、レリーズをもちながら待つ。背景がボケて、淡い色のバックをつくり、実の赤が際立つ絞りをさぐる。


 

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