樹液をだしているのは、檪の大木。あたりに饐えた匂いを漂わせている。ヒカゲチョウが飛び去った。王者の到来である。クワガタやカブトムシなど甲虫はみえない。おおきな羽音をさせながらやってきて、ポタッと張り付くように蜜源にとまる。とまる、といっても、静止はしてくれないから、105ミリレンズ絞りf5.6の。一発で必中とはゆかない。動きもあるし、ポーズもある。

 自由雲台のボールを緩めて、左手はカメラを押さえる。右手でレンズピントリングを操作し、オオスズメバチに合焦しておいて、ケーブルレリーズに持ちかえる。なかば置きピン状態で吸蜜するハチをフレームに生捕る。相手は蜜に夢中だから、大きな身振り身動き、息の吹きかけなどで刺戟しなければ、こちらに注意をむけてこない。

 エレベーターが歯車式ではないから、レバーを緩めれば即座にカメラ上下調節ができて有難い。脚のロックもレバーだから、ファインダー越しにハチをみながら、脚全体の姿勢を楽に速く調整できる。

 三脚の脚一本を縮めて、二脚で撮るのも、時に役立つ。合衆国では、二脚(Bipod)の紹介記事を雑誌にみつけることができる。

 スズメバチは養蜂家の大敵。夏も終わりに近い頃から、ミツバチの巣箱が襲われる。短時間のうちに、スズメバチに噛み殺された働き蜂の死屍累々。巣は滅亡するので、中学生のときは、羽子板でやってきたスズメバチを叩き落した。

 蜂は、こちらがなにもしないのに、むこうから向かってくることはない。それと気づかずに、無意識のうちに相手を刺戟して刺される。なにが相手を刺戟することになったか思い当たるふしがないから、蜂にやられたという感想になり勝ちなのだろう。

 敵を知り、己を知らば、百戦あやうからずである。刺されていいことはひとつもない。観察には、充分注意するに越したことはないのである。

ポイント


エレベーターが歯車式ではないから、レバーを緩めれば即座にカメラ上下調節ができて有難い。脚のロックもレバーだから、ファインダー越しにハチをみながら、脚全体の姿勢を楽に速く調整できる。


 

 

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