今日はゴミの日、ビン・カン・ペットを出してきて気が付いた。ツマグロヒョウモンが羽化している!しめた、絶好のモデルだ。羽化したばかりだろうから、すぐには翔べまい。とはいえ、相手は蝶。いつ逃げられないともかぎらない。急いで静かに三脚を据え、運台にカメラをとりつける。とにかく一枚撮る。それが蛹の脱け殻が写っている駒である。撮影するカメラとツマグロを一緒に納める余裕はない。翔んでしまったらオジャンだから。ツマグロヒョウモンは、雌雄で翅の色が違う。雌は広げた翅のふちが黒く、前翅のはし(端:つま)が黒くて目立つ。これが名前になった。

 子供の頃、ツマグロヒョウモンは珍しかったが、いまやごく普通の蝶だ。食草がスミレで、栽培種が普及したことと関係があるようだ。さて、この羽化した個体は雄だろうか雌だろうか。翅裏をみただけでは、残念ながら判断できない。ひろげてくれたらすぐ判るのに。

 家内はショートステイからまだ帰っていない。さっき起動させた洗濯機は脱水が終わっただろう。終わったら干したい。10時半には生協の配達がくる。荷を受けとっている間に翔んでしまうかもしれない。しかし、こういう出会いはそうあるものではない。ほかのことはさておいて、撮ることに専念しよう。

 翅をひらいた瞬間にシャッターを切れるよう、置きピンにしよう。翅を閉じているツマグロを真上から見おろす位置にレンズを向ける。目にピントを合わせる。ひろげた翅が左右均等に画面を占める図柄をおもい描いて調整する。さあいつひろげてもいいぞ。とは思うものの、ツマグロから目を離すわけにはゆかない。連続凝視、これが苦しい。でも、目をそらした間に翔ばれたら悔しい。我慢だ。ヘマはしたくない。

 相手はじっとして動かない。動かないツマグロを見続ける。膝をつく姿勢も楽ではない。何分経ったか。ツマグロは首を廻す仕種をして、またじっとしている。アッ!小便かな?一滴たらした。動かない。翅は閉じたまま。おお、脚を動かしたぞ。でもまた動かなくなった。翔ぶための準備運動なのか?ちょっとした動きをみせる間隔が短くなってきた。まもなく翅をひらくかなと思った瞬間だった。翅をひらき、端黒がみえた。メスだ。レリーズを押す。翔んだ。翔んで数メートル離れたイチジクの葉にとまったと思ったら、また翔んで隣家へ。シャッターは切ったものの、予想したとおりうまくおさまったかどうか現像あがりが待ち遠しかった。上がってきたのをみると、ツマグロはフレームからはみだしている。でもピンはしっかり目にあった。翅をひろげてから合焦していては間にあわない。画面から翅が飛び出しているから臨場感が、生々しさがある。と負け惜しみもいいたくなる。

 偶然にもオスを撮ってあったから見比べられる。五葉松の葉にとまったところを、置きピンではなく、三脚でピン合わせも構図も瞬時同時進行でモノにした。ピンは目にある。自由運台の便利さよ、幸いなるかな。

 

ポイント


翅をひらいた瞬間にシャッターを切れるよう、置きピンにしよう。翅を閉じているツマグロを真上から見おろす位置にレンズを向ける。目にピントを合わせる。ひろげた翅が左右均等に画面を占める図柄をおもい描いて調整する。


 

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