雲台は構造に注目しよう。片仮名のコの字は左側があいていて、右側には柱がある。

スリックの500Gシリーズの雲台は、コの字型だ。横コの字型と呼ぼう。一方コの字を縦にして、左右につっかい棒役の壁を設けたタイプを便宜的に縦コの字構造とよんでおこう。ベルボンEXシリーズの多くが採用している。コの字を縦に使うか横に使うかだが、横にすると上から下への力にたいして、ブヨブヨ感が、縦型より当然大きい。

 500Gは、1976年発売である。当時、市販量軽量アルミ三脚は、1.1キロあった。それを半分以下の500グラムにおさえようと開発したモデルである。どうやって重量を減らすか、大問題だった。アルミ材を樹脂におきかえよう。一般に、肉厚1ミリのアルミパイプを薄くできないか。目標とする重量が500グラムだから、名前を500G、Gはグラム、そしてめざす売価3800円だから開発記号に38をいれた。最高級一眼レフ、標準レンズ50ミリ付きニコンFで、セルフを利かせてファミリーフォトが撮れる力をもたせよう。

 雲台も脚ナットも樹脂とする。脚パイプは0.6ミリ。電接管を使おう。テレビアンテナ管製造技術を応用するのだ。肉が薄いから、パイプにねじを切ない。米国ヨーダー社製造管マシン稼動工場探し、パイプ内側バリ取り問題解決…。未知未経験の山登りだった。

 軽くしても使用に耐える三脚の開発が大目標だから、雲台の樹脂化は当然だ。したがって、初期モデルは、カメラ台縦横変換機構を省いた。カメラ取り付け方向を90°振れば、縦位置で使えるじゃないか。複雑なメカにして弱点を助長し、さらに、コストアップは愚策との判断だ。

 雲台の金型ができたと連絡がはいった。これで量産に移れると喜んだのも束の間、驚いたのなんのって、パン棒の位置が左右逆ではないか!一同混乱の坩堝に突き落とされたのはいうまでもない。

 樹脂にすれば、金属より軽くできるばかりか、塗装を省け、コストダウンも図れる。樹脂を多用した本格的三脚の登場は、業界にショックを与え、そっくりさんも登場して、悩まされもした。

 海外の有力取引先から「三脚は、ローテク製品」といわれ、悔しかったが、1990年代には、100万本の量産記録をうちたてた、記録はどこまで伸びたろうか。

 樹脂多用三脚の登場は、軽量化の先駆けでもある。量産記録樹立は「名器」の誉、それは横コの字雲台装備である。

 

ポイント


海外の有力取引先から「三脚は、ローテク製品」といわれ、悔しかったが、1990年代には、100万本の量産記録をうちたてた、記録はどこまで伸びたろうか。


 

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