おやつをすますと、家内を散歩につれてゆく。天気が許すかぎり同じ時間に同じところを歩く。今日は「コクワガタ」を拾った。自転車専用道路のアスファルト上を歩いていた。「そんなところノソノソしてると轢かれちゃうヨ」と手にとる。怪我はしていない。きれいな個体だ。「うちに連れてってやる。モデルになれや。」といってみても、相手は手の中に納まってはいない。フィルムの空ケースをもってくるンだったナと思っても後の祭。動きまわるのを労わりながら、連れ帰った。
さて、この元気者をどうやって撮るか。

子供時代は見むきもしなかったコクワ。方言でツノサカ(ノコギリクワガタ)やガンコツ(ミヤマクワガタ)なら価値があった。値うち最高はオオクワガタだったが、滅多に捕れない。少し小型のヒラタなら捕れた。撮った虫達を飼ったものだ。

活発に歩き廻る虫の動きをどうやって止めるか。そうだ。アレだ。昼にキウイを食べた。捨てたヘタの部分をなめさせてみよう。薬味をいれる小型の擂鉢に甘い黄色キウイのかけらを、生ゴミパイルからつまみ出し、コクワをのせてみる。と、どうだ、狙い的中。すぐさま茶色い舌を伸ばして、吸い始めたではないか。シメシメ。ときに触覚を伸ばし、甘露甘露とキウイに抱きついている。動かない。これなら撮れる。日が長いとはいえ夕方である。明るいうちが勝負。コクワガタキウイカブリツキの薬味いれを西向き窓際におく。55ミリマイクロレンズなら等倍まで寄れる。三脚は窓下壁際に。脚を伸ばすとカメラがモデルから離れるから代わりにエレベーターを上げて、近さを保つ。

カメラの左側に56日分薬の袋、右は文箱、下にはファミリーカセットコンロの箱がみえる。右端銀色は手製レフ板。私の生活空間を写場にしている。
ピントはもちろんレンズ鏡胴で行う。しかし、向きやこまかな調整は、擂鉢を動かす方が速いし、楽である。写し終えて、薬味入れを玄関の外に出した。やがて暗くなり、コクワは満腹になって飛び去るだろう。案の定、翌朝みると主は去り、しなびたキウイが残っていた。元気でナー。

ポイント


明るいうちが勝負。コクワガタキウイカブリツキの薬味いれを西向き窓際におく。55ミリマイクロレンズなら等倍まで寄れる。三脚は窓下壁際に。脚を伸ばすとカメラがモデルから離れるから代わりにエレベーターを上げて、近さを保つ。


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